アトキューブ・システムズ社(attocube systems)の精密ポジショナーはピエゾ素子により駆動を行い、ナノオーダーのステップ幅とｍｍレンジの移動距離が可能です。リニアーポジショナー、ローテータ（回転）、あおり、スキャナーなどの種類があり、使用環境に応じて、室温(RT)、高真空(HV)、超高真空(UHV)のモデルがあります。またエンコーダー内蔵型では移動と同時に位置の変位を読み取ることができます。

1. 可動テーブル部がロッドに対して固定しており(Sticking phase)、ロッドとともに移動します。ロッドの端にはピエゾアクチュエータが固定されています。このピエゾアクチュエータにノコギリ波を加えます。
2. ノコギリ波のスロープ状になっている場所では、可動テーブルはロッドとともに移動します。この時の移動量はピエゾアクチュエータに加えられた電圧に比例します。ANPピエゾステージではこのステップは室温で約50nm程度です。また極低温では10nm程度に小さくなります。
3. ノコギリ波の垂直に電圧が下がるところでは、ピエゾアクチュエータが急激に元の長さに戻るため、可動テーブル部は慣性によりロッドに対して滑り、可動テーブルはほぼその位置に留まります。これで１つのサイクルが完了し、サイクルを繰り返すことで可動テーブルは大きな距離を移動することができます。

アトキューブのポジショナー及びスキャナーは規格化されており、例えば2個のECS3030ステージを直角に組合せ、 その上にもう一つのECS3030を組み合わせることで3軸のXYZ粗動ステージとなります。多くのステージは直接つなげることができますが、違うサイズ、形状の場合、アダプタープレートが必要になることがあります。

attocubeの工業用ピエゾステージは、標準でアルミとセラミックスから作られています。また高真空、超高真空用途の場合ステンレスで作られます。

/NUM: 電子制御式光エンコーダー

/NUM, /NUM+エンコーダーでは、ガラスの回折格子から来るモアレ縞から位置情報を得ます。非常に高い制度で位置情報が得られ、1nmの分解能と50nm程度の位置再現性が得られます。測定は変位測定であり、内蔵されるリファレンスを通過することで絶対位置に変換します。真空中で使用する場合、内部の電子回路から来る発熱が問題になる場合があります。その場合発熱を押さえた/NUM+を使用します。

θ軸とφ軸用ステージがあります。

ECC100: クローズドループ制御用コントローラ

エンコーダー無しのピエゾステージに使用します。モジュール構造になっており、3種類のモジュールを必要な軸数分(最大7つ)のスロットに差し込んで使用します。モジュールにはSTEP動作用, スキャナー用、両動作用があります。

EAP: アダプタープレート

ステージを複数個組合せる場合、組み合わせによっては直接接続できない場合があります。その場合アダプタープレートを使用します。また向きを90度などのように変える場合にも使用します。

EVFT: 真空フィードスルー

ピエゾステージが真空チャンバーやクライオスタット内にある場合、真空フィードスルーが必要になります。真空度に合わせてKFかCFフランジを選択します。

ECS Lift: 荷重補助機構

ピエゾステージは、摩擦力により位置を保持しますが、荷重により摩擦力を超える場合滑り始めます。より大きな荷重を動かす場合バネの力により荷重の一部を補助することができます。